企業を4つの視点で分析するフレームワーク「SWOT分析」

SWOT分析 経営

会社の現在の状況を分析するのに有効なフレームワークである「SWOT分析」。日本でも割と知名度のある分析方法ですね。この理論は現状をわかりやすく分析できるフレームワークですがいくつか注意点もあるのでご参考までにまとめてみました。

「SWOT分析」とは企業を4つの視点から分析するフレームワークです。日本でも結構有名な理論で会社のなかでもしばしば話題にあがると思います。このS,W,O,Tの4つのアルファベットはその4つの視点の頭文字をとったものです。

SWOT理論

S : Strength (強み)

競合他社と比べて自社が優れている強み

W : Weakness (弱み)

競合他社と比べて自社が劣っている弱み

O : Oppotunity (機会)

収益増加の機会になり得る外部環境の変化

T : Threat (脅威)

収益減少の脅威になり得る外部環境の変化

このように内部要因と外部要因の好影響を与える項目と悪影響を与える項目に分けて4つの視点で考えます。このフレームワークは企業を取り巻く状況をきれいに整理できます。ですが、ただ整理するだけでは意味がないのでこの状況を元に企業の戦略をねっていく必要があります。

EX ) 自動車メーカーAの場合

ちょっと一例をあげてみます。実際の会社ではないですが、あるAという自動車メーカーがあったとします。このAをSWOT分析に基づいて分析すると以下のようになるとします。

自動車メーカーAのSWOT分析

  • S : 低燃費小型車を低コストで製造可能
  • W : 他社と比べてデザイン力が弱い
  • O : 消費者のエコ意識が高まっている
  • T : ハイブリット車の普及

これを図解します。

SWOT分析-例

この状況から、大きく2つの戦略を思いつくでしょう。一つは強みを生かして小型車勝負。そしてもうひとつは弱みのデザイン力を向上させるということ。それではどちらかに重点をおくならどちらがいいのでしょうか?

SWOT分析から戦術を練る際の注意点

日本人はその国民性から欠点を直すことに一生懸命になりやすいそうです。ですが本当に必要なのは短所を長所になるくらいまでに克服するより長所をのばすことだと思います。

わかりやすい例で言えば、またスポーツ選手の話になりますがプロ野球界の強打者といわれる主砲クラスのホームランバッターを想像してみてください。多くは強靭なパワーで長打力をもっていますが、足はそんなに速くありません(中には足が速い選手もいますが・・・)。そういう選手が弱点である足の早さを克服するのに時間を割くべきか??違いますよね。下手すれば長所であるパワーも損なわれるかもしれません。
走力に対する過剰な努力は、強みである長打力が弱まり、平凡的な選手になってしまう可能性すらあると思います。

SWOT分析から戦略を練る際の注意点は欠点克服の戦略に過剰に資金や労力を割いてしまわないことです。「”ブランド”から学ぶセルフブランディング」の記事でも書きましたが、個性をしっかり持っている企業が、平均的な企業になってしまうこともあります。

弱みは致命的な欠陥にならないレベルまでに引き上げるくらいでいいと思います。あくまで徹底的に強みを磨き続けて、得意な分野で戦略を立てるのが定石となります。

自動車メーカーAの場合

注意点をふまえて、先ほどの自動車メーカーAの場合を考えてみると、その後の有効な戦略はこう考えられます。

W(weakness):デザイン力

格好悪いから買わないと言われない程度に底上げする。

S(strength) : 低燃費小型車を製造する力

この力を徹底的に磨くことに重点をおく。

このような戦略をとることが有効だと考えられます。

実際ではデミオやアクセラでしられるマツダの「SKYACTIV TECHNOLOGY」なんかは低燃費コンパクトカーの製造に注力した結果だと思います。ハイブリット車に匹敵する燃費性能をもつ技術です。(マツダのデザインが平均的なわけではないですが。。)
ダイハツの「e:Sテクノロジー」も「JC08モード」基準で30km/l以上をあげています。

まとめ

SWOT分析

SWOT分析-図解

長所

企業や個人が現在おかれている状況をきれいに整理できる。

注意点

弱みの克服ばかりに過剰にエネルギーを注力しない。

この考え方はビジネスパーソン個人にも当てはまります。
自己分析をして、欠点を克服することも大事だけど、それに過剰にエネルギーを費やすのではなく、自分の強みをのばすことに重点をおくことが大事なのではないでしょうか。

こういったフレームワークはいろいろあります。どれもけっこうわかりやすく使いやすいものです。ただ、こういった理論ひとつを鵜呑みにして信じ込んでしまうのではなく、あくまで自分のひきだしを増やすというイメージで利用して行く方がいいと思います。
社会を取り巻く環境は日々変化していくし、ビジネスにはひとつの絶対的に正しい理論はあり得ないと思いますので。

こういった理論のいくつかを組み合わせて利用する方法も有効だと思います。お土産屋さんブログというブログのアイデアを大量生産できる最強のフレームワーク「オズボーンのチェックリスト」という記事ではそういった組み合わせの一例が取り上げられています。こういう考え方は素晴らしいですね。いろいろあるガジェットやソフトなどもそうですが、基本的な使い方を理解した上で、それらをどう使っていくかによって個人のスキルに差が出てくるんだと思います。

それでは

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